コピー銭

  現代なら著作権というものがあり、かってなコピーはご法度ですが、古い貨幣には明らかにコピーと思えるものがあります。
  文字のところに別の文字を嵌め込んだもので、「鑲(じょう)置銭」とも呼ばれています。


● 開元通宝 ⇒ 漢通元宝
唐・開元通宝 (621年)

欧陽脩の筆と伝えれる名筆です。
「開通元宝」と読む説もあります。

24.4mm 3.2g
後漢・漢通元宝 (948年)

五代十国の一つ、後漢(こうかん)が発行したものですが、開元通宝の「開」の字を「漢」に変えただけ、他は全く同じものです。 背上部の月まで同じです。
「漢元通宝」と読む説もあります。
他に後周の「周通元宝」なども同じ方法で作られています。

24.1mm 3.0g

● 嘉祐元宝 ⇒ 治平元宝

北宋・嘉祐元宝 (1057年)

嘉祐元宝の中で、「仰嘉」と分類されているものです。

25.1mm 3.2g
北宋・治平元宝 (1064年)

治平元宝の中で、「大字」と分類されているものです。
「元」と「宝」の字は、嘉祐元宝と全く同じです。
北宋の時代、貨幣の原型(母銭)を作るとき、『活字』を使用したと言われています。 嘉祐元宝と治平元宝で同じ活字を利用したようです。

24.8mm 3.2g

● 大観通宝 ⇒ 大中通宝
北宋・大観通宝 (1107年)

北宋最後の皇帝、徽宗皇帝の筆と言われています。

24.1mm 3.5g
日本・大中通宝

単に「大中通宝」といえば、明の朱元璋がまだ元などと戦っていたころに発行したものですが、左の品は、日本の東北地方で作成された鋳写し鐚銭です。 「観」の字を「中」に変えた理由は不明です。

23.5mm 2.6g

● 永楽通宝 ⇒ 世高通宝
明・永楽通宝 (1368年)

日本にも数多く渡来した永楽通宝です。 織田信長の旗印でも有名です。

24.1mm 2.2g
琉球・世高通宝  (1461~69年)

中世の一時期、琉球王朝が独自の貨幣を発行したことがありました。 これはその一つで、世高王尚徳が発行したものです。
永楽通宝の「永楽」を「世高」に変えたものです。 達筆の「通宝」に比べて、「世高」の2字が不釣合いです。
他に琉球の「大世通宝」や、日本の「慶長通宝」も同様の方法でつくられました。

23.0mm 3.3g

● 寛永通宝(背文) ⇒ 寛永通宝(背佐)
日本・寛永通宝(背文) (1668年)

寛文期に江戸亀戸で作成された背文銭は、細かく分類すると数十種類ありますが、その中で「縮字勁文」と呼ばれているものです。 通字用画の二引き上画右側に鋳切れがあるのが特徴です。

24.9mm 4.2g
日本・寛永通宝(背佐) (1717年)

享保期に佐渡で作成したものですが、面は「縮字勁文」をそのまま使用しています。 通字の特徴もそのままです。

25.1mm 3.6g


2003.8.09 2003.11.15update