変な寛永通宝

  銭譜にはあまり登場しない変な寛永通宝を、古寛永と新寛永から数組紹介します。


(1) 背星と背一?
     
古寛永:水戸流永 背星?
水戸の背星といえばありふれたものですが、ここに紹介するのは「流永」の背星。
出来星にしては定位置を心得ています。
4.0g 24.5mm
     
新寛永:加島細字 背一?
一見すると低寛背一ですが、面文をよくみると「加島細字」です。
2.7g 23.1mm

(2) 大様と小様
     
古寛永:建仁寺小字 大様
うわっつ! 誰だこんなにでっかいの作ったのは!
3.5g 26.4mm
     
新寛永:細字背元 彷鋳磨輪
うわっつ! 誰だこんなにちっこいの作ったのは!
1.2g 18.5mm

(3) 鋳写し鐚銭?
     
古寛永:松本太細 彷鋳銅銭
出来栄えは、室町期の東北鐚銭にそっくり。
その頃の技術が伝えられていたのではないかと思われます。
2.6g 23.1mm
     
新寛永:秋田加護山 当四正字写し
秋田加護山(阿仁銅山)特有の銅色です。 赤みが多いのは鉛分が多いからだそうです。
4.7g 27.5mm

(4) 鉄の寛永
     
古寛永:水戸力永 仿鋳鉄銭
古寛永の時代に鉄錢はなかったはずです。
100枚1000円で買った寛永鉄銭の中に混ざっていました。
2.4g 23.1mm
     
新寛永:明和二十一波 仿鋳鉄銭
二十一波にも鉄錢はなかったはずです。
左の品、もしかすると長尾寛では?
5.4g 27.7mm

(5) 未使用銭
     
古寛永:沓谷 正足宝
古寛永の第2期、明暦年間に駿河の沓谷にて作成されたものとされています。
古寛永の中ではごくありふれたものです。
あるコイン売り場で、別のものを買ったら、店主が「こんなものがよく今まで残ってましたよね」といいながら、
おまけでくれたものです。
3.2g 24.9mm
     
新寛永:深川十万坪 虎の尾寛小字
次は新寛永の中期、元文年間の作品。
これも江戸深川十万坪で大量に作成されたもの。
流通痕がなく、直接触れるのがためらわれる品です。
2.5g 23.2mm

(6) 母 銭
     
古寛永:水戸狭足寛濶縁 母銭
写真うつりはさほどではありませんが、立派な母銭です。
2.8g 24.2mm
     
新寛永:細字小文 破棄母銭
外径、内径が大きく、郭内にも丁寧なヤスリ掛けがあります。
使用済みの母銭を悪用されないようにするため、当時のものと思われるタガネの跡が5ケ所もあります。
これほどまでにしなくてもいいと思うのですが、・・・。
3.5g 25.4mm

(7) 極印銭
     
古寛永:背輪極印銭
背面下部に菊の模様のような極印があります。
3.3g 24.6mm
     
新寛永:背輪極印銭
背面に三箇所、「和」の文字の極印があります。
3.6g 25.2mm



2002.1.19  2003.6.7改訂  2007.11.14 極印銭を追加  2021.2.15 画像撮り直し