旅籠「煙草屋」の前まできたとき、三岡はたまりかねて、 「竜馬あっ」 と、二階へ呼びあげた。 ひびきに応ずるように竜馬は二階から顔を出し、 「やあ三岡か、話すことが山ほどあるぞ」 と、どなりおろした。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ この男が竜馬に、新政府財政の基本的な考え方はこうあるべきだと説き、その財政技術のひとつとして金札の発行を説いた。 兌換紙幣のことである。新政府にはまだ信用がないため京大坂の富豪を説き、かれらに発行の勧進元をさせ、その信用と財力を借りれば一千万両ぐらいの金はたちどころにできあがるだろうと三岡はいうのである。 ・・・・・ 司馬遼太郎、『竜馬がゆく』 |
「太政官札」金1両 133×45mm |
当時の正貨 「明治二分金」 この貨幣にも偽造が多かった 3.0g 20×12mm |
明治5年2月に発行された「明治通宝札」 112×72mm ドイツの技術で作成され、「ゲルマン紙幣」と呼ばれた |