(1)「縮通仰通」と「縮通狭元」とその中間 左、「縮通仰通」 中、「縮通狭元」 仰通に比べると、「元」の最後の跳ねが短い他、「宝」の上部(ウ、王、尓)の形状が異なります。 右、この二つの中間です。「元」は「縮通仰通」に似ていますが、「宝」の上部は「縮通狭元」と同じです。 2.1g 23.6mm/2.7g 23.4mm/2.9g 23.9mm |
(2)「縮通長元」 ありふれた品なのですが、『本邦鐚銭図譜』には掲載されていません。 「元」がやたら高く、「豊」の最終画が斜めになっています。 独特の書体で、見分けは容易です。 3.2g 24.2mm |
(3)大小ある「容弱」 「遒勁」の他は大きさがだいたい揃っている長崎元豊ですが、「容弱」の類だけは小ぶりなものがあります。 左:「容弱本体(長尾元?)」 右:「容弱本体(長尾元?)小様」 3.1g 23.9mm/3.1g 22.7mm |
(4)2種類ある「縮字」 「縮字」は1種類のように思われがちですが、2種類あるようです。 『収集』の1982年1月号で発表されたのが最初だと思います。 左が本体で、右が本体でないもの(人によっては「長尾元」と呼んでいます)。 右の方の特徴は次のとおりです。 「元」:やや大字かつ退元で、最後の跳ねが内郭の線近くまで届いている。 「宝」:最後の点が内郭側でなく、外輪側に向かって丸く跳ねる。 そのためか、宝字全体が仰いでみえる。 3.4g 23.9mm/2.8g 23.6mm |
(5)「遒勁」の石蹴り 左:「遒勁大字石蹴り」 右:「遒勁小字濶縁石蹴り様」 遒勁の類は、字画の鋳切れがあるのが多く、最も有名なのが「大字石蹴り」です。 豊字の上部の鋳切れの状態も、識別のポイントです。(右図参照) 小字の方も、字画に鋳切れのあるものが多く、元の前足の先が二箇所で切れています。 2.5g 24.2mm/4.2g 25.4mm |
(6)長崎元豊の写し 鋳地不明 長崎元豊には、安南での写し銭が多くみられます。 しかし、これは背を見る限り中世の鋳写し鐚銭風。 また銅色も赤く、東北産かとも思うのですが、面の様子に今ひとつ味がありません。 やはり安南銭か? 1.4g 21.7mm |