証紙つき10円札

「証紙」つき昭和一次兌換十円札

 昭和21年2月16日、急激なインフレ対策として、政府はとんでもない緊急処置を発表しました。
   ◇5円以上の紙幣は、3月2日までしか使えません。 新しい札と交換して使いなさい。
    交換できるのは1人100円までです。
   ◇その他の紙幣はすべて預金しなさい。
    預金からの引き出しは、月額世帯主300円、その他1人100円を限度とします。
 そして、2月20日、
   ◇新しい札の印刷が間に合わないので、当分現在の札に「証紙」を貼ってその代わりとします。
    「証紙」は2月25日より金融機関で配布します。

 いわゆる「新円切り替え」と「預金封鎖」という荒療治です。
 「証紙」つきの旧札は10月30日には通用停止となりましたので、この「証紙」が意味を持ったのは8か月ほどでした。

 【労働省の家計調査】 昭和21年7月の労働者1世帯の1か月の平均家計支出は1720円、エンゲル係数77%。
  (一人一日の食費は10円前後)

参考文献:
  「日本紙幣収集事典」、原点社、2005
  岩崎爾郎、「物価の世相100年」、読売新聞社、1982

2006.12.30