ジンバブエの100兆ドル紙幣
ジンバブエ 100兆ドル札
2009年1月16日発行、6月30日通用停止
ジンバブエは、アフリカ南部の内陸国家です。かつてはイギリス領ローデシアと呼ばれていた国です。人口1250万人です。
この国のジンバブエ・ドルは、かつては米ドルより高価なほどでした。
1997年に発行された1セント銅貨
ところが2005年ころからインフレが進行し、2006年8月には、3桁切り捨てのデノミを実施しました。
その2年後の2008年8月には、さらに10桁のデノミを実施し、1ドルから500ドルまでの紙幣を発行しました。
それでもインフレは収まらず、2009年1月16日には、何と100兆ドルという超高額の紙幣を発行しました。0が14個もあります。
これだけの超高額紙幣ですが、特に目立った偽造防止策はとられていません。すかしもありません。激しいインフレの中、偽造しようとする人がいないからだそうです。
GDPの世界全体の総計は、およそ60兆ドル(ただし、米ドル)。
右の紙幣は、100兆ドル紙幣のわずか半年前の2008年8月1日に発行された1ドル紙幣。
この紙幣を100兆ドル分積み上げると、その高さは1000万キロで、地球と月の間の距離の26倍にもなります。まさに天文学的な数字です。
急激なインフレの原因はいくつもあるようです。
・労働者からの賃上げ要求への対応と、大統領の選挙資金捻出のために紙幣を増刷した。
・白人の農地を強制収用したため、農業生産性が大きく低下、食糧が少なくなった。
・株式の強制譲渡令で、外国企業が撤退し、生産活動が激減した。
・価格統制令により、商品が市場で流通しなくなった。
まるで、古代か中世の歴史のようです。
2015年6月15日の新聞ニュースによると、ジンバブエ中央銀行は、このジンバブエドルを廃止し米ドルに両替して回収すると発表しました。 交換レートは
1米ドル=35,000,000,000,000,000ジンバブエドル(ゼロが15個)
だそうです。 上の100兆ドル札350枚で1米ドルになります。 1枚は0.3円くらいです。
2017年11月21日、このインフレの張本人ムガベ大統領が軍事クーデターにより辞任させられました。 彼の治世(?)は37年にも及びました。
2009.9.16 2013.9.20改訂 2015.6.15改訂 2018.12.1改訂