現役最古の通貨

現役最古の紙幣
大黒1円札  明治18年発行


アメリカでは、南北戦争以降に発行されたすべての通貨は、現在でも有効だそうです。
日本ではどうでしょうか。

●紙幣の場合
明治以降に発行された紙幣は、これまで4回の大整理がありました。(細かな整理はたびたびありました)
①明治32年12月
  明治15年10月に日本銀行が開業し、明治18年より日本銀行兌換銀券(通称大黒札)が発行されました。
  そして、明治32年12月、日本銀行券に統一するため、明治17年までに発行されていた紙幣がすべて通用停止になりました。
  明治通宝札、国立銀行券、神功皇后札などがこれに該当します。
②昭和14年3月
  「兌換銀行券整理法」により、明治大正期に発行された5円以上の紙幣が通用停止になりました。
  1円以下の紙幣は日常生活の便利さのため、そのまま通用されました。
③昭和21年3月
  いわゆる「新円切り替え」です。それまでに通用されていた5円以上のすべての紙幣が通用停止になりました。
  このときも、1円以下の紙幣はそのまま通用されました。
④昭和28年12月
  「小額貨幣整理法」が施行され、1円未満のすべての通貨(紙幣、硬貨)が通用停止になりました。

この制度が現在でも続いています。 ②、③、④のとき、1円札だけが整理対象になっていません。 このため、明治18年以降に発行された1円紙幣だけは、現在でも有効となっています。

上の紙幣は明治18年に発行されたいわゆる大黒1円札。
これが、日本銀行でも認めている日本の現役最古参の紙幣です。 世の中で一般に1円として使えることになっています。 普通の人は嫌がるでしょうが、銀行へ持って行けば1円として預金できます。

参 考 図
5円以上1円札50銭以下初期紙幣
明治5年~
明治18年~【現行】大黒札
明治32年~【現行】武内札
昭和14年~【現行】武内札
昭和21年~【現行】【現行】二宮札
昭和28年~


●硬貨の場合
硬貨の場合はどうだったでしょうか。
①明治30年9月
  1円銀貨の国内通用が停止され、台湾でのみ通用する銀貨となりました。
  もともとこの銀貨が国内で使われることは稀でしたので、この法令はなかば形式的なものでした。
②昭和28年12月
  「小額貨幣整理法」が施行され、1円未満のすべての通貨(紙幣、硬貨)が通用停止になりました。
  これで、戦前に発行されていた金貨以外のすべての硬貨が通用停止になりました。
  またこのとき、ついでに昭和23~25年に発行されていた1円黄銅貨も通用停止になりました。 素材(真鍮)の価格が高騰したためだと言われています。
③昭和63年4月
  「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(新貨幣法)」が施行され、明治から昭和にかけて発行されていたすべての金貨が通用停止になりました。 これで日本の金本位制は名実ともに無くなりました。

参 考 図
5円以上1円50銭以下金貨
明治3年~①銀貨
明治30年~
昭和21年~【現行】②黄銅貨
昭和28年~【現行】アルミ
昭和63年~

戦後に発行された硬貨は、次の通りです(記念硬貨を除きます)。
   50銭 昭和21~23年(通用停止)
    1円 昭和23~25年黄銅貨(通用停止)、昭和30年~ アルミ貨
    5円 昭和23年~
   10円 昭和26年~
   50円 昭和30年~
  100円 昭和32年~
  500円 昭和57年~
ということで、昭和23年に発行された5円玉が日本の現役最古参の硬貨になります。 この穴のない5円玉、さすがに最近は日常生活の中ではみかけなくなりました。
現役最古の硬貨
穴ナシ5円黄銅貨 昭和23年発行


  2014.8.6