ポル・ポトの紙幣

1975年 民主カンプチアの50リエル紙幣

カンボジアで極左武装勢力「クメール・ルージェ」が成立したのは1950年代です。
1960年代には、ポル・ポトが指導者となりました。 折からアメリカのベトナム戦争への介入が始まったころです。

1975年にアメリカ軍がベトナムで劣勢になったころ、ポル・ポトたちは首都プノンペンを占領し、翌年には「民主カンプチア」を建国しました。
上の画像は、この国が発行した紙幣です。  上部の文字は、クメール文字で ធនាគារកម្ពុជា (カンボジア銀行)。
表面はのどかな農村の風景と、アンコール・トムですが、裏面では若い女性兵がロケット砲を構えています。 何とも悲惨な光景です。

しかし、この紙幣は1、2カ月しか使われなかったそうです。
この国はその後、完全な共産主義社会を建設するとの目標をたて、私有財産を廃止、近代科学を否定、宗教を禁止、学校・工場・病院を閉鎖、そして貨幣そのものも捨て去りました。 貨幣のない近代国家はこの国の他は例を見ません。

その後、1978年にベトナム軍が侵入して勢力をなくし、1998年にポル・ポトも亡くなりました。


2015.8.10