アングロサクソンの銀貨
フリージアのスケアット銀貨 1.1g 10.8mm c695-c740
西暦600年ころ、ゲルマン民族の大移動も終盤にさしかかり、イングランドにはアングロサクソンのウェセックスなどの7王国が、フリージア(現オランダ)にはフリースランド王国が成立していました。
これらの国は共通して同じ様式の貨幣を発行しました。
トリムサ(Thrimsat)と呼ばれる小さな金貨でした。 デザインには王の肖像や、十字架、幾何模様、ルーン文字などが刻まれました。 実に多彩なデザインですが、イングランドとフリージアの諸国家で統制のとれたものでした。
その後675年ころ、この金貨は銀貨に転換されました。 金資源が枯渇したためと推察します。
この銀貨はスケアット(シャットsceat)と呼ばれました。 宝物とか富と言う意味です。
素材は銀に変りましたが、大きさとデザインは金貨のそれを踏襲しました。 直径10ミリくらいの小さな銀貨です。 右の10円玉との比較画像でその大きさを実感してください。
この様式の銀貨は760年ころまで発行され続きましたが、少し大型化され、ペニー銀貨、ドニエ銀貨の形式に移行しました。
その後、フリースランド王国は734年にフランク王国によって征服され、イングランドでは839年に7王国の一つのウェセックス王国がイングランドを統一しました。
2018.11.27