『どっちが表?』
上 1881年発行 オーストリーの5グルデン紙幣
下 1881年発行 ハンガリーの5フォリント紙幣
1枚の紙幣の表と裏です。
(Colnectの画像を利用)
19世紀、ヨーロッパ中央部にハプスブルク家の大帝国、オーストリーがありました。 現在のオーストリー、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ボスニア、クロアチアの他、ルーマニア、ウクライナ、セルビア、イタリアの一部も含む広大な大帝国でした。
しかし、マリアテレジア以降は内政外政が芳しくなく、国勢が振るいませんでした。 同じドイツ人のプロシャとの覇権争いに敗れると、衰退が明らかになってきました。
この帝国内には、ドイツ人の他に多数の民族がいました。 その最大はハンガリーのマジャル人です。 国内をより強固にしようと、マジャル人との融和政策を推し進め、1867年「オーストリー=ハンガリー二重帝国」が成立しました。
この二重帝国が発行したのが、上の紙幣です。 一方の面にオーストリーの5グルデン、もう一方の面にハンガリーの5フォリントの額面を記しています。 どちらが表? 迷います。
(この紙幣のデザインには「エディト」(⇒右図)で有名なグスタフ・クリムトが関与していたらしいです)
帝国は第一次大戦後の1918年に崩壊しました。
2021.7.19