天下手祥符通宝
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天下手祥符通宝 1.7g 21.9mm
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室町・戦国時代、日本でも銭を生産していました。 民間で銭を生産していたのです。 決して偽金というのではありません。 誰が生産しても良かった時代です。
当初は中国産の渡来銭に比べて品質が悪く、「鐚銭(びたせん)」と呼ばれて嫌われた日本銭ですが、そのうち技術も向上し、品質のいいものが生産されるようになりました。 大豪族は、独自の生産工房を構え、独自のブランド品を生産しました。 「加治木洪武」、「叶手元祐」、「天正永楽」などはその代表例です。
「天下手祥符」と呼ばれるのもその一つです。 16世紀後半、天文年間の比較的短期間(10年間くらいか?)に、九州のどこかで生産されたものと推察します。 小柄で愛くるしい容姿に、ファンも多いです。
このブランドは、
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天下手祥符通宝 背逆天下
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・銭銘は、「祥符通宝」または「祥符元宝」に限られる。
・通常の銭は3.5グラム、24ミリくらいなのに対して、この一群は2グラム、22ミリ前後と小さい。
・書体に細かな差異はあるが、基本的にコンパクトで柔らかい書体。
・そしてしばしば、線、点、窪みなどの何らかのマークがつけられているものが多い。
のような特徴があります。 このマークについて見てみます。
(「天下手」の名称は、この一群の中に、背に「天下」の逆文字の刻まれたもの(⇒右図借画像)があることに由来しています。 もっとも、この「天下」の文字の刻まれたコインは大珍品で、現存数枚でしょう。 まだ見たことがありません。)
まず、面(表側)につけられたマークです。
「輪決文」は、左上から線状の筋があります。 これは外輪側から出ているので「輪決文」といいます。 内郭側から出ていると「郭決文」といいます。
「面十字」は、右下に「×」のマークがあります。
「輪中刮去」は、右下の輪の中に、見にくいですが、小さなくぼみがあります。
次に、背(裏側)につけられたマークです。
「背一」は、上部に「一」の文字があります。 文字というより横棒に近いです。
「背星」は、上と左右に「・」のマークがあります。 これを星と呼びます。 星は、二つのものや、四つあるものもあります。
「背鋸郭」は、内郭下部が鋸のようにギザギザです。 横側がギザギザになっているのもあります。
どのマークも、一見偶然の傷のようにも見えますが、意図的につけられたマークであるところが面白いです。
だれがどんな目的でつけたのか、単なるいたずらかもしれませんが、想像するだけで楽しくなります。
2022.4.21
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