女王陛下の肖像

 エリザベス女王が亡くなられました。 1952年に即位されてから70年のご在位した。
 イギリスのコインには必ず女王陛下の肖像があります。 70年の間には、肖像のデザインは何回か変更されています。


 ● FIRST PORTRAIT (1953~)
1967年発行 半ペニー銅貨
裏面:16世紀の軍艦「ゴールデン・ハインド」
 女王の最初のコインが発行されたのは、即位の翌年からです。
 まだ戴冠式前の肖像らしく、王冠ではなく、月桂冠をつけています。 このとき27歳で、また若々しい女性です。
 このころのイギリスの貨幣単位は、古代ローマ帝国由来の
   1ポンド = 20シリング = 240ペンス(単数形はペニー)
でした。 10進法でない単位を使っていたのは、おそらくイギリスだけでした。

 ● SECOND PORTRAIT (1968~)
1974年発行 ソブリン金貨
額面は1ポンド
裏面:竜退治をする聖ジョージ
 1971年、イギリスも貨幣単位を改め、
    1ポンド = 100ペンス
としました。 そして、移行に先立ち1968年からコインも大幅に変更しました。
 女王の肖像も変わりました。 王冠をつけています。 このとき女王は42歳です。 女王らしくなっています。

 ● THIRD PORTRAIT (1985~)
1992年発行 10ペンス白銅貨
裏面:イングランド象徴の獅子
 1985年に再度肖像を改めました。 このとき女王は59歳でした。 威厳に満ちています。
 "George IV State Diadem" という名の王冠をつけています。 1820年にジョージ4世が作成したもので、4カラットのダイヤを含む1333個のダイヤモンドをつけた王冠だそうです。

 ● FORTH PORTRAIT (1998~)
2000年発行 50ペンス白銅貨
裏面:ブリタニア座像
 王冠が変わりました。 このとき女王は72歳でした。

 ● LAST PORTRAIT (2015~)
2017年発行 1ポンドバイメタル貨
裏面:イングランドのバラ、ウェールズのリーク、スコットランドのアザミ、北アイルランドのシャムロック
 2015年の肖像が最後となりました。 このとき女王は89歳です。 王冠は元に戻りました。 英国だけでなく、世界を君臨する大女王の風格です。


 ところで、
 イギリスのコインには、国名が書かれていません。 その代わり、女王の称号が書かれています。
   ELIZABETH・II・DEI・GRATIA・REGINA・FIDEI・DEFENSATRIX 、またはそれを略した
   ELIZABETH・II・D・G・REG・F・D のようにです。
女王名の後半は、by the Grace of God, Queen, Defender of the Faith(神の恩寵による、女王、信仰の擁護者) のラテン語表記です。

 2022.9.10 (エリザベス女王の亡くなられた2日後)