外国紙幣に描かれた日本人

スコットランド銀行発行　２０ポンド紙幣　　　２００７～２０１６　　画像出典:Colnect

　イギリスには、イングランド銀行券の他にスコットランドだけで使用できるスコットランド銀行券があります。
　上の画像は、そのスコットランド銀行が発行した２０ポンド紙幣です。　表面の人物は、１９世紀のスコットランドの詩人 Sir Walter Scott ですが、裏面には何と日本人が描かれているのです。　しかし目をこらしてもなかなか見つかりません。　右上の大きな数字「￡２０」の「０」の中に隠れているのです。
　右の拡大画像がその部分。　手をつないだような三人の中央がその日本人です。

　彼の名は、渡邊嘉一わたなべきいちさん（安政５年(1858)生～昭和７年(1932)没）。
　工部大学校（現東大工学部）を首席で卒業後、英国グラスゴーに留学。　その頃エディンバラ近くのフォース湾にかかる鉄道橋が強風で壊れ、多大の被害を出したため、より強固な橋の再建設が計画されていました。　彼はその設計に参画し、カレンチバー構造を生み出して、「フォース橋」を完成させました。　１８９０年に完成したこの橋は、現在でも貨物線の鉄道橋として現役で使われています。　その強固さと歴史性から世界遺産にも登録されています。

　このカレンチバー構造を、共同設計者のジョン・ファウラー、ベンジャミン・ベイカーと並んで人絵で示したのがこの写真。
　あまりにも小さいですが、名のある日本人が外国紙幣に登場するのは、他には知りません。

　彼はその後いくつかの電鉄会社の経営にも関わり、晩年には東京石川島造船所（現在のＩＨＩ）の社長をも務めています。

Forth Bridge　　　　Aug. 2017