王冠の中に王冠?

セレウコス朝の銅貨 紀元前2世紀 2.1g 11~13mm
 上のコインの形状、(最近はあまり見かけなくなりましたが)ビール瓶の王冠(蓋)にそっくりです。
 そして、その中に描かれているのは王冠を被った王様の像。 王冠の中に王冠があると、だじゃれた次第です。
 このコインは、アレクサンダー後にシリアを支配したセレウコス朝のアンティオコス4世(在位紀元前175~164)が発行した銅貨です。
 裏面は、女神の像と、その前後に王の称号(BAΣIΛEΩΣ)、王名(ANTIOXOY)が書かれていますが、残念ながら女神の頭も、文字の先頭部もオフゲージされています。
 わずか2グラムの銅貨です。 現代人の100円か200円相当でしょうか。 このコインを何枚かチャラチャラさせてビールを買っている人を想像してみると楽しいです。
 セレウコス朝は、アレクサンドロス大王の死後、武将の一人セレウコスが興した国です。 一時はペルシャからシリアに至る大帝国でしたが、パルチアなどに攻められて勢力をなくし、紀元前1世紀にローマの属州となりました。

 2023.7.4