チャーチル

イギリス 1965年 クラウン(5シリング)白銅貨 28.0g 38.5mm
 上のコイン、1965年に元イギリス首相のチャーチルが没したとき、彼を顕彰して発行されたコインです。
 裏面は、チャーチルの肖像と、単純に「CHURCHILL」と彼の名称。 肖像は、鋭い目つきで頑固そうな男そのものです。 ヒトラーを倒し、戦後は「鉄のカーテン」を造った西欧の指導者です。
 ところで、このコインには、不思議なことがいくつかあります。

 まず、国名がありません。 しかしこれはイギリスコイン全体の特徴で、女王名があるので国名は不要との考え方です。
 女王名は、ELIZABETH II DEI GRATIA REGINA F・D・ で、「エリザベス2世、神の恩寵による女王、信仰の擁護者」 のラテン語表記です。

 次に、コインに描かれる肖像は通常国家元首(国王、大統領)に限られ、記念硬貨でも皇族に限られます。 総理大臣とはいえ民間人が描かれるのは世界でも稀です。

 最後に、どこにも額面がありません。 一見すると、貨幣というより何かのメダルです。 近代以降の世界の通用貨幣で額面が表記されていないのは、これくらいでしょう。
 この当時のイギリスの貨幣制度は、 1ポンド=20シリング=240ペニー(複数形はペンス) でした。
 このコインの額面は5シリング(4分の1ポンド)です。 通常「クラウン」と呼ばれていました。 この頃発行されていたクラウンと、同じ大きさだったので、額面がなくてもイギリス人には違和感はなかったのでしょう。 当時(昭和40年)の為替レートでは252円でした。 山手線の初乗り料金が10円の時代です。

 2023.9.7