刻印だらけのスペインドル

  
スペインの8レアル銀貨 1809年 26.7g 39.8mm
表:フェルディナンド7世、裏:王冠とジブラルタルの柱に囲まれた王家の盾紋

 19世紀初頭、清は人口4億をかかえ、世界総人口の20%を占める最大国でした。
 ヨーロッパ人が盛んに交易に訪れました。 清はヨーロッパ人のほしがる生糸、絹織物、茶を輸出しましたが、国民の需要はすべて国内でまかなえる国でしたから、めだった輸入はありません。 大幅な輸出超過で、銀が大量に流入していました。
 ヨーロッパから来る銀貨の中では、スペインが新大陸で鋳造した銀貨(スペインドル)が特に好まれました。
 清国の商人たちはこれを貨幣として使うのではなく、銀の塊として使いました。 粗悪な偽ものを排除するため、本物であることを確認すると、自分たちのマークを刻印しました。 多くの商人が確認すると、多くの刻印が打たれ、それだけ信用度が増しました。
 上のコインには、表裏に数十個の刻印があります。 漢字1字が多いですが、記号のようなものもあります。 所構わず刻印するため、国王の像や裏面のデザイン(王冠、柱、盾紋)がだいなしになっています。

 2024.6.30