国宝のコイン

国宝『興福寺中金堂鎮檀具』
日本の「重要文化財」は1万件余りあり、そのうち1000件余りは「国宝」に指定されています。
「国宝」となっている貨幣は、数件あります。
  ・滋賀県『崇福寺塔心礎納置品』のうちの11枚の「無文銀銭」
       ⇒京都国立博物館の「無文銀銭」
  ・奈良県『興福寺中金堂鎮檀具』のうちの145枚の「和同開珎」と1枚の「開元通宝」 ⇒上の画像
  ・鳥取県『伯耆一宮経塚出土品』のうちの2枚の銅銭
  ・愛媛県『伊予国奈良原山経塚出土品』のうちの銅銭(「永楽通宝」や「寛永通宝」も混ざっている?)
  ・京都府『鞍馬寺経塚遺物』のうちの銅銭

上の画像は、『興福寺中金堂鎮檀具』と呼ばれる一群の中にある145枚の和同開珎です。
明治7年、奈良興福寺で、数十点の鏡、念珠、玉、水晶、金(金塊、砂金、延金)、銀椀、開元通宝などとともに発見されたものです。
無造作に束ねられています。
決してとりたてて美しいというものではありません。1枚1枚が特に貴重というものでもありません。

なお、これらの他に「重要文化財」となっている貨幣には次のようなものがあります。
  ・長崎県『対馬シゲノダン遺跡出土品』のうちの1枚の「貨泉」
  ・大阪府『和泉黄金塚古墳出土品』のうちの「五銖銭」?
  ・奈良県『金銅小治田安万侶墓誌』の附属の10枚の「和同開珎(銀銭)」
  ・山口県『長門国鋳銭遺物』のうちの1枚の「和同開珎」
  ・奈良県畠山遺跡出土の31枚の『開基勝寶』
       ⇒東京国立博物館の「開基勝宝」
  ・『岡山県大飛鳥祭祀遺跡出土品』のうちの105枚の皇朝銭
  ・『北海道志海苔(しのり)中世遺構出土銭』の37万4435枚の渡来銭
       ⇒市立函館博物館の「志海苔古銭と3号甕(珠洲焼)」
  ・奈良県『元興寺塔址土壇出土品』のうちの銅銭
  ・『広島県草戸千軒町遺跡出土品』のうちの銅銭(13世紀までの渡来銭約1.8万枚)
       ⇒広島県立歴史博物館の「草戸千軒町遺跡出土の銭塊」

他にもありそうですが、貨幣単独の文化財は、「開基勝宝」と「志海苔出土銭」だけのようです。

2009.4.19