国立博物館「考古展示室」のコイン

上野の東京国立博物館の平成館に「考古展示室」があります。
「考古」ですから、石器時代、土器時代、古墳時代の生活道具・祭祀用具・武具などが中心ですが、近世に至るまでの出土品も幅広く展示されています。 そのような中にコインも何点か展示されています。
(博物館の展示はしばしば「展示替」があります。 同じものがいつまで展示されてるかは分かりませんので、お気をつけください。)

●和同開珎銀銭
重要文化財「小治田(おはりだ)安万侶墓出土品」の一部です。
明治45年に奈良市丘陵斜面から発見されたもので、神亀6年(729年)のものだそうです。
解説文には次のように書かれています。
■明治45年(1912)に丘陵斜面から、墓誌と、火葬骨が木櫃に入れられた状態で発見されました。墓誌が3枚もある珍しい例です。和同開珎・土師器甕・三彩小壺片なども出土しています。小治田氏は蘇我氏の同族で、明日香村豊浦周辺を拠点としていたようです。
展示されているのは、次の4点です。
  1墓誌、2木櫃、3三彩小壺片、4銀銭和同開珎(10枚)

●富本銭と皇朝銭
右の画像の右側の3枚は近年有名になった「富本銭」です。
富本銭は、つい最近までは絵銭の一種と考えられていたため、文化財とは縁遠い存在でした。 そのため、この展示品も出土地不詳となっています。 国立博物館の収蔵品にあったことが不思議なくらいです。
その左には、「和同開珎」、「万年通宝」、2枚の「神功開宝」が並んでいます。 いずれも大津市の崇福寺出土のものです。 この寺は重要文化財「無紋銀銭」が出土したことでも有名です。

●開基勝宝
日本最初の金銭は天平宝字4年(760年)に発行された「開基勝宝」です。
現存32枚で、そのうち1枚が皇室が所有し、残りの31枚がこの博物館にあります。 収蔵はされていても、展示されるのは稀です。

●渡来銭
藤原兼実(道長から数えて6代目)の造営と考えられている稲荷山経塚(京都市伏見区)の出土品です。 1180年ころのものです。
経筒、延金、銀塊、などとともに10枚の渡来銭が埋納されていました。 日本で渡来銭が使われ始めたころで、銭は当時は貴重なものだったのでしょう。
しかし、個々の銭は普通の宋銭で、特に珍しいものではありません。

●江戸時代の小判
江戸時代の出土コインも展示されています。
 ・銀座で出土された慶長小判15枚、享保小判15枚、正徳小判15枚、
  慶長一分金10枚、享保一分金10枚、乾字一分金7枚
 ・伊豆大島で出土された慶長小判15枚、元禄小判15枚、慶長一分金30枚、
  元禄一分金1枚
 ・上野公園で出土された安政丁銀4枚
などです。 みんなキラキラ輝いています。

2010.2.20