紙幣の製造コスト

 硬貨の製造コストについては、「硬貨の製造コスト」でお話しましたが、紙幣の製造コストについてお話します。
 下の表は、令和以降に日本銀行が国立印刷局に発注した紙幣の製造コストを調べたものです。

紙幣の種類年度製造計画(億枚)製造費決算
(億円)
コスト
(円/枚)
1万円札5千円札千円札合計
令和元年度10.02.417.630.052417.5
令和2年度9.23.217.630.053918.0
令和3年度9.04.116.930.054318.1
令和4年度8.60.84.614.054918.9
6.00.78.315.0
令和5年度18.81.99.630.361920.4
令和6年度18.32.19.129.5

 渋沢栄一などの新しい紙幣が発行されたのは令和6年7月のことですが、その2年くらい前から準備されていたことがよく分かります。
 1枚あたりの製造コストは、旧紙幣で18円くらい、新紙幣で20円超と1割以上高くなっています。 このことを日本銀行は次のように説明しています。
  ・偽造防止強化のため、新たに3Dホログラムなどの新技術を採用した。
  ・光熱費・人件費などが高騰した。
  ・用紙の原料の ミツマタ(ネパール、中国から輸入)、アバカ(マニラ麻;フィリピンから輸入)を輸入するようになった。

年度年度末流通高(億枚)
1万円札5千円札千円札合計
令和元年度104.06.842.7153.5
令和2年度109.17.243.8160.1
令和3年度112.87.244.7164.7
令和4年度114.37.344.4166.0
令和5年度112.57.343.8163.6
令和6年度
 このように、毎年30億枚もの紙幣が製造されていますが、現在流通している紙幣の総量はおよそ160億枚で、毎年殆ど増減がありません(右の表をご覧ください)。
 つまり、新たに印刷された紙幣の殆どは、古くなった紙幣と取り替えられ、古い紙幣は廃棄されるのです。 平均的には5~6年で新しい紙幣に取り替えられます。 千円札は2~3年で、1万円札は6~7年で取り替えられるそうです。
 海外旅行すると、しわくちゃの紙幣を手にすることがありますが、日本ではそんなことはありません。

 2024.11.10